開校140周年?図書館落慶記念式典 学長挨拶
昨年4月より、学長職を拝命しております、 各務 洋子 でございます。
本日の式典に際しまして、駒澤大学を代表し、御礼とご挨拶を申し上げます。
我が駒澤大学が学林として設立されて以来430年、その後、明治15年(1882年)10月15日に近代的学校制度のもと、麻布区北日ヶ窪の地に曹洞宗大学林専門本校が開設されましてから140年という記念すべき年に、本日、おかげさまを持ちまして、無事に新図書館の落慶式を迎えることができました。
ご多忙のところ、大本山總持寺貫主 石附 周行 紫雲臺猊下のご臨席を賜り、また先ほどは、曹洞宗宗務総長 鬼生田 俊英 老師、世田谷区長 保坂 展人 様、駒澤大学教育後援会長 久保 伸吾 様より、関係各位を代表して、ご丁重なるご祝辞と、温かい励ましのお言葉を賜り、誠にありがとうございました。
さらに、顕彰を贈呈させていただきました、新図書館の建設に際し、多大なるご寄付をいただきました皆様、また、物心両面に渡りご支援をいただきました本日ご列席の皆々様に、心より厚く御礼を申し上げます。
さて、かつて「禅籍では東洋一」ともいわれました、本学図書館の歴史を振り返りますと、当時「耕雲館」と称されました図書館が、今は「禅文化歴史博物館」としてその面影を残し、博物館となりましてから今年6月で、ちょうど開館20周年を迎えることができました。
隣にございます前図書館は、今から約半世紀前の昭和48年に建設されて以来、古今の書籍収蔵のみならず、デジタル技術を取入れた「貴重書のアーカイブ」や「論文のデータベース化」などにも努め、時代に応じた教育研究に貢献して参りました。ご列席の皆様におかれましても、様々な思い出が詰まった施設の一つではないかと拝察いたします。
このように本学の大学図書館が、時代とともに進化を遂げてきました姿は、まさに教育機関の質的変化の発展段階を辿ってきたと言えるのではないでしょうか。米国の社会学者が、進学率が50%を超える高等教育をユニバーサル段階と呼びましたが、2021年の我が国の高等教育進学率は、過去最高の 82.8%に達し、量的側面において高等教育は万人に開かれたと言えます。一方で、多様な学修者の需要に対して、質的側面において、適切に学修機会を提供するため、学修環境を整えていく必要があります。つまり、誰もがいつでも自らの選択により適切に学べる機会が整備された高等教育機関、まさにこの新図書館の目指す姿に当てはまるものです。
こうした本学の知性と歴史文化を受け継ぐ新図書館は、近年の大学図書館に求められる、多様なニーズに応える施設とするため、一つに「智の蔵」、二つ目に「フロアゾーニング」、三つ目に「多様な閲覧スペースと学修空間」、この3つのコンセプトを主軸に据えて設計されました。
式典が終わりましたら、皆様には、新しい図書館をご内覧いただき、知的好奇心に満ち溢れる施設の充実ぶりを、喜び勇んで学修に励む学生の姿を重ね合わせながら、ご覧いただけましたら幸いに存じます。
このような素晴らしい新図書館を設計監理いただきました、株式会社石本建築事務所様、工事施工をいただきました、東急建設株式会社様、さらに図書館建設に携わった多くの方々に、この場をお借りしまして、御礼申し上げます。
これら新図書館の高度な機能は、数年かけて構想が練られたものでございますが、私が学長として現在掲げております「デジタル化の推進とダイバーシティによる個の尊重」にもつながる、大変重要なコンセプトでもございます。新図書館をはじめとして、日頃の授業、教職員の日常業務におきましても、デジタル技術によって教育?研究の可能性や汎用性を拡げ、多様な働き方と持続可能な社会を目指した貢献を、着実にひとつずつ実現して参ります。
最後になりますが、10年後の2032年には、本学は開校150周年という大きな節目を迎えます。
凡そ組織の独自性はその歴史にあると言われますが、駒澤大学のもつ唯一無二の伝統と価値を礎とし、新図書館の竣工を未来への一つの布石として、本学のさらなる教育研究の高度化と、図書館に蓄積される「大学の叡智」を日本のみならず、広く世界へも発信する新たな学術拠点として、新しい時代を創造する大学であり続けるよう、力を尽くしてまいります。
本日ご列席の皆々様におかれましては、駒澤大学の新時代に向けて、今後とも温かいご指導と、より一層のご支援を賜りますよう、お願い申し上げまして、御礼とご挨拶に代えさせていただきます。
令和4年10月12日
駒澤大学学長
各務 洋子