令和2年度 9月法科大学院入学式 学長式辞
このたびは、駒澤大学大学院法曹養成研究科にご入学、誠におめでとうございます。9月にご入学され、来年4月に入学される学生さんよりも、6ヶ月早く法律の勉強を始められることになります。皆さんの意気込みをここに見ることができます。
さて、既にご存知の通り、新型コロナウィルス感染症拡大防止のために、大学における授業もリモート授業が主流となっております。駒澤大学におきましても、前期の授業は原則リモート授業でございました。しかし、新型コロナウィルス感染防止の手段を可能な限り尽くすことで、少人数教育においては対面授業の要望に応える必要もあります。
この点について、本学は、後期授業開始にあたり「リモート授業」と「対面授業」を併用する方法を採用する予定です。もちろん?感染状況によっては変わることもあり得ます。前期のリモート授業も、学生の学修の観点からすると一定のメリットがあるものではありましたが、法科大学院に求められる「双方向?多方向の授業」の必要性?有効性においては、やはり対面授業の重要性を軽視することはできないと考えるからです。皆さんにおいても、2024欧洲杯投注网_欧洲杯预选赛买球感染防止策を徹底してとっていただき、しっかりと学修を進めていただきたいと思います。
さて、2000年前後、司法制度改革の大きな柱の1つであった法科大学院制度も、そろそろ20年近くの経験を積んで参りました。その間、様々な改革や改善が行われていますが、各法科大学院の定員削減、司法試験の合格者総数の低迷、さらには予備試験の実施等に伴う法科大学院への進学希望者減少により、多くの法科大学院が存立困難となり、撤退のやむなきに至っています。
このような状況においては、法科大学院存続の真の意味が問われることになります。もちろん、入学された皆さんが司法試験に合格し、希望の法曹の道に進むことが最終的な目的であるとしても、各法科大学院には、それぞれの教育方針が存在します。そして、それぞれの法科大学院の持っている固有の文化を体得して、社会へ真に貢献できる「正義を求める法曹」を育成することが重要であると考えています。
駒澤大学は、ご存じの通り、「仏教の教義並びに曹洞宗立宗の精神」を建学の理念としています。簡単に言えば、「仏教と禅」が大学の独自色です。その内容は、すべての関係者が「智恵と慈悲」を持つこと、すなわち「信?誠?敬?愛」の心を体得する事です。2019年には、この伝統と刷新を目的として、「しなやかな、意思」という大学のスローガンを作成いたしました。これは、「こころ」「まなび」「つながり」を核として、学生自身が自分の道を見つけるための「よりどころ」となる大学に、駒澤大学がなることを意味します。
本学大学院法曹養成研究科(法科大学院)は、この理念と精神を受けて、「人に寄り添い、社会につながる法曹」を育てることに、目標を設定しています。そして、既に50人以上の法曹を世に送り出しています。
法曹になるためには、厳しい学修と試練の連続であろうと思います。孤独になり、落胆することもあるかと思いますが、その道程の中で、高い希望を常に抱懐し、「しなやかな、意思。」を体得して欲しいと思います。これが、駒澤大学法科大学院の文化です。ただ単に、法曹になるのではありません。素晴らしい法曹にならなくては意味がありません。
また、人とのつながりを大切にすることは、なにも法曹になってからのことではありません。学生と教職員のつながり、学生同士のつながり、その上での社会とのつながりを意味します。そして、つながりを歪曲化あるいは矮小化しないためには、公正?公平?公明正大を愛する広い心が大切です。
駒澤大学法科大学院で学び始めるに当たって、赤心のエールを皆さんに送りたいと思います。身体と健康に注意して、自らの持つ可能性を最大限具体化する努力を期待いたします。
簡単ではございますが、以上、式辞といたします。
令和2年9月19日
駒澤大学学長
長谷部八朗